崖から落ちるサラリーマン

2025年の崖とは?未来を切り開く戦略についてわかりやすく解説

2025年の崖とは、わかりやすく言うと経済産業省が2018年にレポートしているDXの遅れや人材不足、レガシーシステムなどにより最大年間12兆円の経済損失が生じる可能性を示唆したものです。

2025年に何が起こるのか?

では2025年になれば実際に何が起こるのでしょうか。

これはあくまでも経済産業省が2025年以降の経済損失を試算したものであり2000年問題のようなすぐに起こりうる事象ではないため答えは「何も起こらない」が正解でしょうか。

しかし何も起こらないからと安堵し変化を起こさなければ大きな損失につながるという未来予測が現実としてすぐそこまで来ています。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の遅れが最大の問題点

今やDX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉を新聞やニュースで見ない日はありません。その誕生は2004年からとずいぶん古く、ウメオ大学のエリック・ストルターマンが論文の中で提唱した言葉です。

そしてこのDXの遅れこそが2025年の崖に大きく影響しているのです。ではどうすればDXの遅れを解消できるのでしょうか。私は大きく3つポイントがあると考えています。

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テクノロジーの進化と共に歩む

周囲を見渡してみるとテクノロジーが進歩しているにも関わらず取り残されている経営者が多いと感じます。これは中小企業に限らず大手企業も然りです。

特にセキュリティの甘さは否めません。Dropboxやzoomを禁止にしている割にWebサイトのセキュリティが緩々な企業も少なくありません。プライム市場に上場している企業ですら危ういケースもあり日本のセキュリティに対する認識が甘いと感じます。

もっと言えばDropboxやzoomを禁止するほど脅威に感じているという点で逆にリテラシーの低さを感じます。よく例えるのが自宅に現金を1000万円置いておくか銀行に預けるか、どちらが安心か。という問いに大抵の人は銀行と答えるでしょう。クラウドサービスなどはこれと同じなのです。

セキュリティだけでなくクラウド活用できず未だに紙やファックスから脱去できていない企業も多いのではないでしょうか。PDFやメールはテクノロジーというほどではありませんが身近なところからデジタル化を図り過去の遺物から脱却していく必要があります。

テクノロジーは日進月歩です。とてつもないスピードでAIも進化しています。ですがその話題にはついていけていたとしても、実際に活用したりイノベーションを起こしたりと行動ベースでは適応できていないのが現状だと思います。

決してトレンドに乗ることがベストではありませんが進歩と共に歩む心掛けが必要だと感じます。

レガシーシステムの脱却

レガシーは「遺産」「時代遅れ」「遺物」などを意味します。レガシーシステムとは要するに時代遅れのプログラムで構築されたシステムのことをいいます。

レガシーシステムは約8割の企業が抱えていると言われています。そして改善しないといけないと分かっている企業がほとんどです。

しかしながらレガシーシステムから脱却できない理由としては金銭的な問題が大きと思いますが核心はそこではないと思っています。

デジタル化やDXが進んでいない本音は、「触りたくない」と言うことに尽きると考えます。

言い出すと担当にさせられる。手をつけてしまうと沼にハマる。だから誰も言い出さないし触らない。というのが現状ではないでしょうか。

しかしこれでは取り残されるどころか経営的に危うくなる可能性も出てきます。なぜならば知見の喪失も2025年の問題として挙げられていますが有識者が退職した場合誰も手をつけられなくなります。

そもそもマニュアル化されていないこと自体が問題ですが、その技術を持つ人間に依存したシステムやビジネスを改善していくべきです。

しかし恐れることはありません。スティーブ・ジョブズが亡くなった今でもアップルは正常に機能しています。よほどのことがない限り破綻することはないと思いますが、工数を圧縮しビジネスにブーストをかけるためにもレガシーシステムから脱却し新しいシステムやDX推進は避けて通れないと考えています。

効率と予算のバランスでビジネスの持続可能性を探る

ルールを作るとコストがかかることを理解しないといけません。例えば出社をフルリモートワークから週に2回義務付けるとした場合、週に2回出社したかどうかをトラッキングする必要がありそのための勤怠システムを導入しなければなりません。

ルールを作ると管理が必要なのです。特に校則が多い学校などは生徒を校門で待ち構えチェックします。ツーブロックが禁止、靴下の色は白、下着の色は白、冬服はいつから。などルールを作って学校は仕事を増やしているようにしか思えません。

これを仮に「髪型、服装は清潔感のあるように。」という校則に変えたとしたら先生たちの仕事は減ります。これは例えの話ですがいかにルールをシンプルにするかで効率やコストが変わってくるのです。

前澤社長がZOZOTOWNの代表をしていた頃、給料を全員一律で同額にしました。当時はとても驚きましたがある意味効率的で画期的だと感じました。給料の査定をする必要もないですし横一列で仕事ができるのはある意味チームの結束力も上がるのではないでしょうか。

デジタルに限定したことではなく新たな発想を具現化し持続可能なビジネススタイルを模索することが本当のトランスフォーメーションだと考えます。

2025年の崖を乗り越えるための戦略的アプローチ

それでは2025年の崖を乗りこえるためにはどのような戦略で生き残れば良いのでしょうか。5つのポイントで提案してみます。

カルチャーを作り旗振りできる人材を育てる

まず最初にDXの重要さを社内で周知させ前向きに改革するカルチャーを作る必要があると考えます。イノベーションは組織風土が流れを作ります。企業にその土壌がなければ種を植えても実がなりません。

そのカルチャーはリーダーが人ごとではなく自分ごととしてDXに向き合うことで作られます。そしてその次に社内にマネジメントができる人材が必要です。

ベンダーに任せきりではブラックボックス化は解消されません。なぜならノウハウが社内に蓄積していかないからです。

リーダー(想いを伝える人)からマネージャー(旗を振る人)へと想いをつなげ推進していくことがプロジェクトの成功の第一歩だと考えます。

プロジェクトを社内主導で推進し知見を自社内に溜めていくことこそ本当のDXです。

開発の現場でもリーダーが部下に指示しそこからベンダーに丸投げと言うケースをたくさん見てきました。最終的なフェーズになりこれまでの仕様を理解していないリーダーが出てきて全てひっくり返すあるあるは笑えない話です。

課題を最初からチーム全体で共有しベンダーの言いなりにならず、リーダーがプロジェクトにコミットする姿勢を見せなければDXの成功はあり得ません。

情報の整理とシンプル化

レガシーシステムの脱却が重要なのは皆さんが理解していると思います。しかしその前に必要なシステムとそうでないものを精査する必要があります。

いわゆる情報の整理です。

複雑化したものを複雑なまま新しいシステムに載せ替えたとしても意味がありません。中にはレガシーシステムとクラウドシステムを連携させて複雑化しているケースも見られます。

これではいけません。一度情報を整理し不要なものを削ぎ落としていく作業が必要なのです。

シンプルにすればシステムの開発を検討していた案件がクラウドパッケージで事足りるかもしれません。多くの企業がフルスクラッチの開発を好む傾向があります。要件を満たそうとすれば必然的にそうなるのかもしれませんがそもそも必要な機能かどうか精査することをおすすめします。

ハンコを押すのが手間だからとハンコを押してくれるロボットを作ってもDXにはなりません。ハンコそのものが必要なのかどうかを検討し、目的は「確認した」というフローを明確化することであればPDFに署名をつければ良いという答えが出てきます。

今一度、この業務は何のために行なっているのか。目的は何かを考えてみてください。

技術者の育成と流出を防ぐ風土づくり

昨今優秀な技術者の確保が困難になっていますが優秀な技術者はすぐに他社へと流出してしまいます。せっかく確保したとしてもより良い企業を求めて渡り歩くのが優秀なエンジニアです。もっとも海外では特にその傾向があります。

携帯キャリアも新規加入ばかりに目を向けていますが、長年使っている既存顧客に何かをサービスするなどの囲い込みが必要だと感じます。10年ほど契約しているユーザーには新機種のスマホをプレゼントしても良いと思うのは私だけでしょうか。

エンジニアだけでなく優秀な人材は育てた後に転職やヘッドハンディングなど様々な要因で離職します。給与面だけでなく休みの取りやすさや社内の環境、リモートのしやすさなど組織全体の風土作りも大事だと思います。

テクノロジー転換の必要性と目的の明確化

多くの企業がテクノロジー先行でプロジェクトを進めがちです。クラウド、モビリティ、DX、AI、ビッグデータ、アナリティクス、ソーシャル技術など次々と新しいワードが登場し言語が先行しているように思います。

・何かAIを使ってできないか?
・DXと言う言葉が流行っているから我が社もDXしなければ。
・ビックデータを活用して何かできないか。
と言う具合に。

これらのツールはあくまでも手法です。手段から入るのではなく本来の目的を明確化した上で必要なツールを使うことが最適だと考えます。

マーケティングの話でドリルを売るなら穴を売れ。と言う有名な話があります。もっと突き詰めて考えると穴に差し込む棒だとかネジが必要であり、そもそも何を差し込み固定するのか?など深く考える癖をつけると良いでしょう。

最新技術を導入し活用するのは目的や課題を解決するためだと言うことを見失わないようにしDXに取り組むことがポイントとなってきます。

守りのIT投資より攻めのIT投資へ

データは古いですが下記の図からも分かる通り日本国内ではアメリカに比べ攻めのIT投資が進んでいないことが分かります。

出典:一般社団法人電子情報技術産業協会「2017 年国内企業の「IT 経営」に関する調査」(2018 年1月)より

これは守りのIT投資から攻めのIT投資へと段階を得たフローで進めようとするためだと考えます。

そしてもう一つ守りのIT投資に比重を置く理由として業務効率化とコスト削減が一番分かりやすい投資だからです。

先にもお伝えした通り目的から逆算すれば守りのIT投資すら不要かもしれません。この投資においてはステップよりも本来の成し得たい課題解決を重視し常に攻めた戦略を元に投資すべきだと考えます。

まとめ:持続可能なビジネス戦略の鍵は

最後にDXで大きく改革しようとする企業は既存のフローに疑問を抱くことから始めることが重要です。

先にも例に挙げましたがコロナ禍でリモートワークが一般的になるまではハンコの存在を疑う人はほとんどいませんでした。しかしハンコがあまり意味をなさないと気づき脱ハンコ化が進み今では官公庁でもハンコを取りやめています。

「常識を疑う」こそが2025年の崖問題を乗り換えていく鍵ではないでしょうか。

馬を早く走らせることを考えるのではなく、早く移動することが目的だと気づき車輪を発明する。イノベーションは常識を疑い違うジャンルから発生したりします。

レガシーシステムの脱却などテクノロジーに頼りがちですが、全方向から物事を見てビジネスのトランスフォーメーションを進めていく企業が増えることで日本経済の発展につながるのではないでしょうか。

今後は職を失う人が増えると言われていますが、DXが進めば同時に新しい仕事がどんどん誕生すると予想します。明るい未来を描きテクノロジーの進化と共に歩む企業が増えることが2025年の崖問題を解決できるキーワードとなるのではないでしょうか。

関連記事:DX(デジタルトランスフォーメーション)の第一歩は業務改善から

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